相続税の税務調査が来る時期は?

相続税の税務調査が来る時期は?

相続税の税務調査は、ほとんどの場合に、申告の翌年か翌々年の8月から11月に税務署から連絡がきます。

この時期を過ぎると、税務調査が入る可能性はほとんどなくなると言っても過言ではありません。

また、申告期限から5年が経過すると、相続税は時効になり、税務署の徴収権が消滅するので、税務調査が入る可能性は無くなります。
なお、仮装や隠ぺいにより相続税を不当に逃れようとした場合には時効が7年になりますが、時効をむかえれば税務調査が入る可能性が無くなるという点は同じです。

少額の場合でも税務調査が来るのか?

相続税を計算する際には基礎控除と呼ばれる非課税枠がありますので、相続税の納税義務が生じるのは、少なくとも相続財産が4、5千万円以上はある場合です。

それでは、ぎりぎり相続税が発生する、つまり相続財産が4、5千万円程度と少額である場合にも税務調査が来るのでしょうか?

結論としては、税務調査が来る可能性はあります。

ただし、財産規模が大きい場合に比べると税務調査が来る可能性はかなり下がります。
やはり財産規模が大きければ大きいほど税務調査が来る可能性が高くなるというのが事実なのです。

相続財産が多い方が、相続税率が高くなり、申告漏れを見つけたときに税務署が徴収できる相続税額が多くなるため、相続財産が大きい申告を優先的に調査するからです。

一般的に相続財産が2億円以上である場合に、税務調査が入る確率が高くなると言われています。

税務調査が来る割合は?

相続税の税務調査は申告数の約20%に対して税務調査が入っています。
5件に1件の割合で調査されるということになります。

相続税の税務調査は、贈与税や所得税、法人税などの他の税金に対して行われる税務調査と比べても税務調査の実施率が高くなっています。
相続税は他の税金に比べてその納税額が高額になりやすいですし、また非常に高度な知識が要求されるため、比較的間違えた申告書が提出されるケースが多いということが理由として挙げられます。

なお国税庁が公表しているデータによると、税務調査が入れば、その約8割は申告漏れを指摘され、追徴課税を支払っているということです。

そもそも税務調査とは?

税務調査とは、相続税の申告が正しく行われたかどうかを税務署がチェックすることです。
そして税務調査には、「任意調査」と「強制調査」の2種類があり、相続人全員が税務調査の対象となります。

任意調査は、調査対象となる人へ事前に税務署から連絡があり、調査日時を決めて行われます。

強制調査は、任意調査を拒否した人や、明らかに悪質な脱税が疑われる人などに対して行われます。
強制調査には裁判所の許可が必要であり、国税局査察部が自宅などに立ち入り、強制的に証拠物件や書類を押収します。
なお、巨額の脱税である場合や、悪質性が極めて高い場合などを除き、相続税の税務調査が強制調査になることはほとんどありません。

どこまで調べるの?

どこまで調べるの?

税務調査がいったいどのレベルで行われるのか不安に思う方もいらっしゃると思います。
例えば次のような調査が行われます。
なお、上述のとおり、税務調査が入ってしまえばほとんどの場合で申告漏れが指摘されますので、税務調査は「徹底的に行われる」とお考えいただいた方が良いでしょう。

通帳は過去10年分遡って調査する

税務署は被相続人の銀行の取引履歴を確認しており、一般的に相続発生前5年から10年程度はさかのぼって調査をしています。

この調査により、過去に何かを売買していたり、個人間でお金の貸し借りをしていたりといった相続人も把握していなかった取引履歴が出てきて、申告漏れが判明してしまうことがあります。
例えば、返済が完了していない貸付金は、債権として相続財産に計上しなければなりません。

なお、税務署は相続人など、被相続人の親族の通帳も調査することができます。
例えば、相続人の預金残高が、過去の所得税の確定申告などから知りえる相続人の収入の規模に比して多額である場合には、被相続人の名義預金や贈与などの相続財産として計上が必要な財産の存在を疑うことができます。

実は最も税務調査の調査対象になりやすいのは金融資産です。
したがって、銀行の取引履歴に関しては税務署も最も入念に調査する項目になっています。

タンスの中を見ることもある

税務調査では多くの場合に、実地調査が行われます。

実地調査とは、税務署の調査担当者が被相続人や相続人の自宅などを訪問し、相続人が調査担当者の質問に答える形式の調査のことを指します。

実地調査は基本的にはヒアリング形式で行われますので、家中をひっくり返して調査するということはありませんが、自宅に金庫があれば、見られるものと思っていた方が良いです。

さらに、回答に不自然な点があれば、「タンスの中を見せてください」といった要求をすることもあります。
あくまで任意調査ですので、調査担当者自身の手で開けたり、ひっくり返したりすることは出来ませんが、要求を断れば、強制調査に切り替わる恐れがあるため、実際には要求に対応せざるを得ないでしょう。

税務調査が入りやすい具体例

税務調査が入りやすい具体的なケースについて見ていきましょう。

相続財産の規模が大きい場合(2億円以上)

上述のとおり、財産規模が大きければ大きいほど税務調査が来る可能性が高くなります。

相続財産が多い方が、相続税率が高くなり、申告漏れを見つけたときに税務署が徴収できる相続税額が多くなるため、相続財産が大きい申告を優先的に調査するからです。
一般的に相続財産が2億円以上である場合に、税務調査が入る確率が高くなると言われています。

意図的に財産を隠しているような場合はもちろんのこと、財産規模が大きくなれば単純な計算ミスであっても、税額に及ぼす影響が大きくなり、申告漏れの金額も大きくなります。

相続財産の評価額、つまり財産計上額の算出は非常に複雑であり、税理士でも間違えることがあるくらいですので、意図的な申告漏れを疑っていなくても、財産規模の大きい申告を優先的に調査の対象にするというわけです。

自分で相続税申告をした場合

相続税の申告を税理士に依頼せずに自分で行っている場合は税務調査の対象になりやすいです。

相続税の申告は非常に専門性が高いため、一般の方が自分自身で申告を行った場合には、計上すべき財産を計上していなかったり、計上額の計算方法に誤りがあったり、あるいは単純に電卓の打ち間違いがあったりといったミスが起こりやすいからです。

相続専門の税理士として多くの申告書を作成してきた立場から申し上げますと、一般の方がこれらのミスを全くせずに申告を行うということは不可能と言えます。

したがって、申告書の下側に作成税理士の署名が入っていない申告書、つまり自分自身で申告書を作成している場合には、その時点で申告漏れを疑われてしまうのです。

相続人名義の預金口座や証券口座に多額の残高がある場合

相続人や、被相続人の近しい親族の名義の預金口座や証券口座にその人の収入に見合わない残高がある場合は税務調査の対象になりやすいです。

税務署は相続人や被相続人の親族の口座の取引履歴を調査することができます。

例えば、その相続人名義の多額の預金残高の中に、入金履歴しかなく、引き出して使用した形跡が無いような口座番号があれば、実質的に被相続人の財産である、名義預金を疑うことができます。
あるいは、その証券口座に係る株式の配当金を被相続人が受け取っていたり、使った実績があれば、実質的に被相続人の財産である名義株式を疑うことができるのです。

まとめ

相続税は他の税金に比べて税務調査の実施率の高い税金であり、その割合は約20%に及びます。
一方で、そのうち税理士に相続税の申告を依頼した場合の割合は、税理士事務所の公表する実績を拝見するとおおむね1%~5%となっています。

税務調査の対象になれば、ほとんどの場合で申告漏れが指摘されてしまいます。
相続専門の税理士に相続税の申告を依頼すれば、相続税の申告や相続続きの手間が省けるだけではなく、税務調査の心配も減らすことができます。
特に財産規模が大きい場合は、税務調査が入る割合が格段に上がりますので、迷わずに相続専門の税理士に相談するようにしましょう。

当事務所は相続専門の税理士事務所です。
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