この記事でわかること
- 相続の税理士費用を誰が払うべきかのルールは無い
- 配偶者が負担することで節税になることがある
- 相続の税理士費用は債務控除できない
相続が起こった際の税理士費用は誰が払うべきなのでしょうか?
相続税申告の9割以上は税理士が行っているというデータがあります。
相続税の申告は非常に専門性が高く、自分で申告を行うと膨大な時間と手間がかかってしまうだけではなく税務調査のリスクも高くなってしまうため、
多くの相続人が税理士に相続税の申告を依頼しているのです。
いざ税理士に相続税の申告を依頼することになった場合に、税理士費用は誰が払うべきか悩んでしまわないように事前に確認していきましょう。
相続の税理士費用は誰が払っても良い
結論からですが、相続税申告の税理士費用を誰が払うべきかについては特にルールはありません。
つまり、誰が負担するかは自由です。
税理士としても、相続人のうちのどなたに負担いただいてもかまいませんので、相続人同士で話し合って決めていただくことになります。
実際に、配偶者が全額負担される場合もあれば、相続人全員で均等に負担される場合もあり、考え方はお客様ごとに様々です。
税理士費用の負担方法に明確な正解はありませんので、
他の相続人に負担方法について強く主張してしまうと、相続人間で揉めてしまうこともありますので注意していただきたいと思います。
なお、参考までに税理士費用を誰が払うべきかの考え方としては例えば次のようなものがあります。
・相続人全員で均等に負担する
経験上もっとも多いのはこのパターンだと思います。
負担の方法に特にルールが無いので、このようなシンプルな結論が最も納得しやすいのでは無いでしょうか。
ちなみに相続税の申告のお手伝いは、相続財産の調査やその財産の相続税評価額の算出、相続税申告書の作成といった業務がメインになってきますが、これらの業務は、「この作業は相続人のうちのこの人のための作業」というようにわけることができる性質のものではなく、基本的に相続人全員のための作業です。
例えば相続財産のうち自宅の土地しか相続をしない相続人がいたとします。
「自宅の土地の相続税評価額の何%がその相続人の相続税額です。」というように土地の相続税評価額にのみ基づいて相続税が算出できてかつ申告も行えるのであれば、「税理士報酬のうち土地評価にかかわる部分はその相続人が負担すべき」と考えることができるかもしれません。
しかし、実際にはその相続人の相続税額の算出には自宅の土地以外のすべての相続財産の相続税評価額の算出も必要なのです。
したがって、個々の税理士の作業を相続人に紐づけて、負担金額を決めるという方法は難しいのです。
・取得した財産の金額に応じて負担する
多く財産を取得した相続人が税理士費用を多く負担するという考え方です。
各相続人が取得した財産の金額に大きな偏りがあるような場合に比較的多い分担の方法です。
・二次相続の際の相続税を減らすために配偶者が負担する
二次相続というのは、今回の相続人である配偶者が、将来亡くなった時の相続のことです。
二次相続の際には、配偶者の財産が相続財産になりますので、配偶者の財産を少しでも減らしておくと二次相続の際に子供が負担する相続税が減るというわけです。
配偶者がすでに高齢で二次相続の発生が近い可能性のある場合であったり、今回の税理士費用がかなりの高額であったり、配偶者の財産が多く二次相続の相続税率が高くなりそうな場合に特に節税効果は大きくなります。
相続の税理士費用は相続税申告の際に債務控除できる?
相続税の債務控除とは、亡くなった方が残した借金などの債務や葬式にかかった費用を相続財産から差し引いて相続税を計算することです。
相続税申告の税理士費用が債務控除の対象かどうかは時々ご質問をいただくのですが、
残念ながら、相続税申告の税理士費用は債務控除の対象にはなりません。
債務控除ができるのは、あくまで相続が発生した時にすでに亡くなった方の債務になっていたものに限り、それ以外ですと、例外的に葬式費用が対象になっているのみです。
相続税の申告は、亡くなった後に税理士に依頼し支払い義務が発生するものですので、債務控除の対象にならないのです。
ちなみに、相続人の所得税の確定申告の控除の対象になったり、経費として計上できるといったこともありません。
相続の税理士費用の相場
相続税申告の税理士報酬の相場は、概ね遺産総額の0.5%から1%と言われています。この場合の遺産総額は、財産評価額を減額できる特例や非課税、債務控除を考慮する前の金額です。
例えば、遺産総額が1億円であれば、50万円から100万円が概ね適正な報酬であると言えるということになります。
このように税理士費用はそれなりにまとまった金額になりますので、税理士費用を誰がどのくらい払うべきかについては、相続人間で少なからずお話される必要があるのです。
↓相続税申告の相場や、相続に強い税理士の選び方、自分で申告を行うことができるかなどについてはこちらの記事も参考になさってください。
まとめ
相続の税理士費用を誰が払うべきかについてのルールはありませんので、相続人全員で均等に負担しても良いですし、財産を多く相続した人が負担してもかまいません。
二次相続での節税を意識するのであれば配偶者が負担するという方法もあります。
大事なことは、明確なルールや正解があるわけではないので、納得のいく負担の方法を相続人同士で柔軟に話し合って決める必要があるということです。
考え方を無理に押し付けてしまって、揉めてしまうというようなことが無いように注意しましょう。不安な方は税理士に相談し、アドバイスを参考にしても良いでしょう。
当事務所は相続専門の税理士事務所です。
税理士費用の負担方法について事例を紹介したりアドバイスをさせていただくことも可能です。まずはお気軽に初回無料相談にお問い合わせください。
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