相続財産を自分で調査する方法を徹底解説!

相続が発生したらまずは相続財産を調査し内容を確定する必要があります。
相続財産の内容が確定しないことには遺産分割協議を進めることが出来ないですし、相続税の申告も出来ません。
遺産分割協議や相続税の申告が完了した後に新たな財産が見つかってしまうと、これらの手続きをやり直さないといけなくなります。

今回は相続財産を自分で調べる方法や、期限、専門家の選び方についてもわかりやすく解説していきたいと思います。

自宅にある書類から相続財産を調査する方法

自宅にある書類から相続財産を調査する方法

まずは被相続人の自宅にある書類などから財産を特定していきましょう。

金融機関からの送付物

金融機関からの送付物がある場合には、被相続人がその金融機関に財産を持っていた可能性があります。
まずはその金融機関に電話をかけるか出向くかして口座の有無や残高の有無を照会しましょう。
ボールペンやカレンダーなどのいわゆる販促品を手掛かりに問い合わせても良いでしょう。

なお、その際に借入金などのマイナスの財産も調査をする必要があります。
借入金については、全国銀行個人信用情報センター、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)といった信用情報登録機関に問い合わせる方法もあります。

固定資産課税明細書

土地、建物の所有者には「固定資産税課税明細書」が市区町村より毎年5月頃に送付されています。
課税明細書が被相続人の自宅にあればその市区町村に不動産を所有していたことになりますので、市区町村の役場へ行き、固定資産課税台帳(名寄帳)を縦覧しましょう。

保険証券

まずは被相続人の自宅に保管してある保険証書等の有無を確認し、保険証券があれば保険会社に問い合わせましょう。

確定申告書

過去の所得税の確定申告書から相続財産を把握することができます。例えば、配当所得からは株式などの有価証券、不動産所得からは土地や建物、生命保険料控除からは生命保険といった具合です。
また、過去の相続税の申告書がある場合には、その時に相続した財産が残っていることも疑いましょう。

預金通帳

預金通帳の取引履歴から相続財産を調査することが可能です。
・配当や利息の入金
配当や利息の入金があるということは株式や国債などの有価証券を所有しているということになります。
・家賃などの定期的な入金
家賃の入金があればアパートや駐車場などを所有している可能性があります。
明細の記載が無い場合もありますが、毎月決まった金額の入金であれば不動産収入を疑うことができます。
あるいは、貸付金の返済の可能性もあるでしょう。
不明な入金がある場合は金融機関に問い合わせてみましょう。
・貸金庫代の出金
銀行の貸金庫を借りている場合、現金や不動産の権利書、保険証券などの大事な書類が保管されていることがあります。
・保険料の出金
生命保険金を受け取れる可能性があります。
損害保険の支払いであっても、複数年分の前払いであれば解約返戻金を受け取れる可能性があります。
解約返戻金は相続税の申告の際に計上が必要な財産になりますので、確認するようにしましょう。
・定期的な不明出金や不明な多額の支払
明細の記載が無い定期的な出金は、借入金の返済などである可能性があります。
借入金のようなマイナスの財産も内容を把握する必要があります。
また、借入金で購入した財産が残っている可能性もありますのでしっかりと借入金の顛末を確認しましょう。
また、定期的な出金ではなくても、不明な多額の支払いについては不動産や車の購入、貸付などである可能性がありますので詳細を確認するようにしましょう。

人に聞いて相続財産を調査する方法

人に聞いて相続財産を調査する方法

自宅にある書類からや、相続人が知っている情報からでは特定できなかった財産は次のような人に聞いてみましょう。

被相続人の友人

近しい友人などがいた場合は、所有していた財産や金銭の貸し借りについて知っている場合があります。

兄弟や親せき

相続人以外に生前に親しくしていた親族がいる場合は財産の状況について質問してみましょう。
例えば相続人が配偶者と子供である場合には、両親や兄弟などが財産について知っている可能性があるでしょう。

付き合いのあった専門家

弁護士、税理士といった専門家と付き合いがあった場合には、被相続人の財産について良く知っている可能性があります。
特定できなかった財産がある場合は相談してみると良いでしょう。

会社の人事部

会社員の方が亡くなった場合には、会社から死亡退職金が支払われる可能性があります。
死亡退職金は民法上の相続財産ではありませんので、分割協議の対象にはなりません。
しかし、相続税法上はみなし相続財産といって、相続財産とみなされて財産計上が必要になります。会社の人事部などに確認するようにしましょう。
死亡退職金以外にも弔慰金の支払いがあったり、会社との間で金銭の貸し借りがある場合もあります。

相続財産ってどんなものがあるの?

相続財産を調査する際には、具体的にどんなものが相続財産になるのかをイメージできている必要があります。
探し物をする時も、どんなものかをイメージできている方が探しやすいですよね?

相続財産にはプラスの財産と、マイナスの財産があります。
具体的に見ていきましょう。

プラスの財産

・現金、預金
・株式、国債、投資信託などの有価証券
・土地、建物などの不動産(借地権も含む)
・自動車
・家財一式
・書画骨董(趣味の収集品)
・宝石、貴金属、ゴールドバー
・ゴルフ会員権、リゾート会員権
・生命保険金・死亡退職金(分割協議の対象にはならないが、相続税の課税対象になるので調査が必要)

マイナスの財産

・銀行からの借入金
・消費者金融からの借入金
・クレジットカードの残債
・住宅ローン
・未払いの税金、医療費

相続財産の調査に必要な書類

相続財産を調査するにあたって、銀行、保険会社、市区町村の役場などに問い合わせる機会が多くあります。
これらの機関には守秘義務があります。
他人に被相続人の財産の情報を教えるわけにはいきませんので、被相続人が本当に亡くなったことや、問い合わせをしてきている人物が相続人であることを確認する必要があります。
通常次のような書類で確認を行いますので準備をしておくと問い合わせがスムーズになります。
なお、これらの書類は不動産、金融資産の名義変更や相続税の申告の際も必要になります。

・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
・被相続人の住民票の除票
・相続人の戸籍謄本(現在の戸籍のみでOK)
・相続人の印鑑証明書

相続財産の調査はいつまでにやるべきか?

相続財産の調査に期限があるわけではありませんが、亡くなってから3か月というのがひとつの目安になります。
なぜなら、相続放棄や限定承認といった手続きの期限が、亡くなってから3か月だからです。

相続放棄というのは、文字通り相続財産を放棄することで、プラスの財産もマイナスの財産も相続しないことになります。
したがって、通常、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合に家庭裁判所に申し立てを行い、相続を放棄します。
限定承認は、プラスの財産を限度にマイナスの財産を相続するという方法です。

財産調査を進めていく中で、多額の借金があることがわかっても、亡くなってから3か月を経過してしまっていれば、その借金も含めて相続することになってしまいます。

したがって、特に借金などのマイナスの財産が存在する可能性がある場合には出来るだけ早く財産の調査を完了するようにしましょう。
なお、相続税の申告期限は亡くなってから10か月です。
相続放棄や限定承認の必要が無い場合は、四十九日法要が終わってからの着手でも問題ありませんが、相続税の申告が必要な場合もなるべく早めに着手すると良いでしょう。

相続財産の調査は弁護士に依頼するべきか?

相続財産の調査は弁護士に依頼するものと考えていらっしゃる方も多いものです。
しかし、相続争いが予想される場合などで客観的な立場からの財産の調査や保全が必要といった場合を除いては弁護士が活躍できる場面はそれほど多くありません。
むしろ相続財産の調査だけという依頼は受け付けていない弁護士も多いでしょう。

相続税の申告が必要な場合は、税理士に依頼するのがおすすめです。
というのも、相続税の申告は税理士にしか依頼できないからです。

通常、相続税の申告業務の中で、財産の調査のお手伝いやアドバイスをしてもらえると思いますので、相続税の申告とあわせて税理士に相談すると良いでしょう。相続税申告の報酬以外に、別途調査費用が発生するということはほとんどないと思います。

相続税の申告が不要で、不動産の相続登記が必要な場合は、司法書士に依頼すると良いでしょう。

それ以外の場合は上記のマニュアルを参考にしていただいて、まずはご自身で調査してみてはいかがでしょうか。

まとめ

相続財産の調査は骨の折れる作業ですが、ほとんどの場合はご自身で調べることが可能です。

相続税の申告が必要な場合は、相続財産の調査をする前に税理士に依頼してしまうことをおすすめいたします。
相続税の申告業務の中で、税理士といっしょに調査をしてしまいましょう。

当事務所は相続専門の税理士事務所です。
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