親が亡くなった際に、実家を相続する人は多いと思います。しかし、すでに別の場所に家を構えていると、わざわざ実家に住みかえるという人はそう多くはいないのではないでしょうか。その場合、実家は空き家になってしまいます。
相続した空き家は、そこに住んでいなくても土地と家屋に固定資産税が課税されます。
さらに、相続するときには相続税も課税されます。

人が住んでいる家については税制上の優遇があるのですが、空き家ではその優遇が受けられずに税金が割高になってしまいます。
今回は相続した空き家にかかわる固定資産税の取り扱いや相続税について詳しく解説していきます。

空き家の固定資産税は6倍!

そもそも固定資産税とは

固定資産税というのは、「固定資産」とされる土地や家屋、償却資産などに対してかかる税金です。

また市街化区域に指定されている場所であれば、さらに都市計画税という税金も併せて課税されることになります。
固定資産税と都市計画税は、土地や家屋の評価額(固定資産税評価額)に税率をかけて求めます。
空き家になった実家の固定資産税は、相続人の負担となるのです。

固定資産税の住宅用地の特例

固定資産税と都市計画税は、固定資産税評価額に税率をかけて求めますが、
住宅やアパートなど、人が居住するための家屋の敷地として利用されている土地(住宅用地)については、特例措置があり、税金が軽減されています。

住宅用地であれば課税標準を3分の1に減額するほか、特に200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)に対する課税標準は6分の1に減額することとされています。
課税標準は通常であれば固定資産税評価額ですが、住宅用地であればこれが減額され税額が減少するのです。

区分固定資産税都市計画税
小規模住宅用地(200㎡以下の部分)6分の13分の1
一般住宅用地(200㎡を超える部分)3分の13分の2

なお、アパート・マンション等の場合は、戸数×200㎡以下の部分が小規模住宅用地となります。

空き家にも住宅用地の特例が適用される?

空き家にも住宅用地の特例が適用される?

空き家についても、構造上住宅と認められ、かつ居住用以外の用途に使用されていないと認められる場合には、住宅用地の特例は適用可能です。
つまり、空き家になっていても壊さずに放置していた方が固定資産税・都市計画税は有利ということになります。
そのため、壊さずに放置されてしまっている空き家が増えているのです。

空き家が放置されれば、倒壊や火災、あるいは不衛生により周辺環境への悪影響が生じてしまいます。

そこで、2015年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、空き家の固定資産税の取り扱いが変わり、「特定空き家」に指定された場合は住宅用地の特例を受けられないことになりました。

特定空き家とは?

それでは、どんな場合に「特定空き家」になるのでしょうか。
国土交通省が示す基本方針には、以下の4項目を挙げています。
このような管理状態が悪い空き家は、自治体によって「特定空き家に」指定されてしまいます。

・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
→建物の破損や不朽、門や看板などの崩壊の危険性の恐れがある状態。

・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
→汚物の異臭、ゴミの放置による害獣などが繁殖し衛生上有害となる恐れのある状態

・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
→建物に汚物や落書き、立ち木の繁殖、既存の景観に関するルールに著しく適合していない状態。

・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
→立木が近隣に散乱、動物の鳴き声や糞尿の臭気、不審者の侵入や雪落の危険性など近隣住民の生活に悪影響を及ぼしている状態。

指定された後、空き家の状況の改善がなされれば、特定空き家の指定は解除されます。
所定の期間内での改善を怠ると、その空き家は住宅用地の特例が適用されないことになり、

今まで1/6に減額されていた土地の固定資産税は原則通りの金額になります。つまりこれまでの負担の最大6倍になってしまうのです。
したがって、相続した空き家は「特定空き家」に指定されないように適切に管理することが重要なのです。

空き家の相続では相続税も割高になる

空き家の相続では相続税も割高になる

人が住んでいる家を相続した場合は、利用の状況によっては、小規模宅地等の特例が適用できますので、大幅に相続税を減額することが可能です。

小規模宅地等の特例とは、亡くなった人が住んでいた土地、事業をしていた土地、貸していた土地について、一定の要件を満たす人が相続したときに最大80%オフできる特例です。
一方で、空き家を相続した場合にはこの小規模宅地等の特例が適用できず、相続税は割高になってしまうのです。
したがって、たとえば、生前にその空き家に住んだり、賃貸に出せないか検討してみると良いでしょう。

まとめ:空き家を放置すると損

空き家を放置することは固定資産税や相続税などの税金面で不利になります。
空き家を放置し、特定空き家に指定されてしまえば固定資産税が跳ね上がってしまいますし、空き家のまま相続が発生してしまえば、相続税の計算上も特例が適用されず不利になってしまうのです。
したがって、空き家はそのまま放置するのでは無く、
税制面で不利にならないような管理や活用を検討するべきでしょう。

無料相談を実施しています

お気軽にご連絡ください

TEL:0466-66-9946
(平日9:00~17:00)