相続税申告の添付書類とは

相続税申告をする際に必要となるのが、最寄りの税務署や国税庁のホームページで取得できる第1表から第15表まである申告書と、それに伴うさまざまな添付書類です。添付書類は必要書類と呼ばれることもあります。
持っている財産や使用する特例は人それぞれ異なりますので、相続税申告の添付書類も人により異なることになります。

まずはじめにご自身の添付書類を適切に把握することで、効率よく収集することが可能になります。

相続税申告の必要書類(添付書類)チェックリスト

相続税申告に必要な書類を分類すると以下のとおりです。

  1. 相続人関係の証明に必要な書類
  2. 遺産分割関係に必要な書類
  3. 不動産関係を相続する場合に必要な書類
  4. 株式や投資信託を相続する場合に必要な書類
  5. 現金や預貯金を相続する場合に必要な書類
  6. 生命保険金(死亡保険金)や退職金を受けとる場合に必要な書類
  7. 贈与関係の必要な書類
  8. 債務関係の控除に必要な書類
  9. 葬式関係の控除に必要な書類
  10. 各種特例を利用する場合に必要な書類
  11. その他の必要な書類

    上記の中から、ご自身の必要書類を収集していくことになります。

    それでは、各書類について詳しく解説していきます。

相続人に関する必要書類

必要書類名取得場所備考
◇被相続人の戸籍謄本(除籍)・改正原戸籍取得場所
市区町村役場
手数料
戸籍謄本(除籍):1通450円
改正原戸籍:1通750円
郵送の場合は、別途切手代がかかります
日数
窓口では即日、郵送の場合は1~2週間程度
戸籍謄本は、被相続人の出生から死亡までの連続したものが必要です。
◇被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票取得場所
市区町村役場
手数料
1通300円前後
戸籍の附票は、戸籍に記載されている人の住所の移り変わりを証明するための書類です。
費用は自治体によって異なります。
◇相続人全員の戸籍謄本戸籍謄本の欄と同じ相続人であることを証明するための書類です。
相続人全員の印鑑登録証明書取得場所
市区町村役場
手数料
1通300円
日数
窓口で即日発行
※印鑑証明書は郵送での対応を行っている自治体が少ないため、詳細は各自治体にお問合せください。
遺産分割協議を行った場合に、押印された実印を証明するために必要です。
相続人全員のマイナンバーカード
またはマイナンバーが確認できる書類
取得場所
手元にあるマイナンバーカード
手数料
住民票を取得する場合は1通300円
日数
住民票は窓口では即日取得
本人確認書類として必要です。
個人番号通知書、通知カード、マイナンバーが記載された住民票の写しなどで確認することができます。
法定相続情報一覧図取得場所
法務局にて作成
または専門家に依頼して作成
手数料
何通でも無料
郵送の場合は、別途郵送代がかかります
日数
発行まで1週間程度
法務局で認証を受けた法定相続情報一覧図は戸籍謄本等の代用として添付することが可能です。
ただし、「子の続柄が養子と実子の区別が明確にされていること」「明確な図形式で作成されていること」が条件です。
当書類があれば、上記の◇の書類は不要です。

遺産分割関係の必要書類

必要書類名取得場所備考
遺言書(写し)取得場所
公証役場や自宅
遺言書通りに相続する場合に必要です。
遺言書が自筆証書遺言書・秘密証書遺言書の場合は、家庭裁判所発行の検認証明書の写しも併せて提出します。
遺産分割協議書(写し)取得場所
自作または専門家に依頼して作成
遺言書が無い場合や、遺言通りに相続しない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する必要があります。
※相続人が1人の場合は不要です。
印鑑登録証明書取得場所
市区町村役場
手数料
1通300円
日数
窓口で即日発行
遺産分割協議を行った場合は、相続人全員の印鑑登録証明書が必要です。
※印鑑証明書は郵送での対応を行っている自治体が少ないため、
各自治体にお問合せください。
※マイナンバーカードを利用してコンビニ等で発行が可能な場合もあります。
特別代理人選任の審判の証明書取得場所
特別代理人が選任された際に交付された選任審判所
日数
申請してから証明書の交付まで1ヶ月程度
相続人が未成年で、特別代理人をたてている場合に必要です。
相続放棄受理証明書取得場所
手元に保管されている証明書 被相続人の最後の住所を管轄している家庭裁判所
手数料
1通150円
日数
申請書を提出してから1週間程度
相続放棄した相続人がいる場合に必要です。
申告後3年以内の分割見込書取得場所
国税庁ホームページ内からダウンロード
申告期限内に遺産分割できない場合に必要です。

不動産関係を相続する場合の必要書類

必要書類名取得場所備考
登記簿謄本(全部事項証明書)取得場所
法務局
手数料
書面請求:1通600円
オンライン請求して窓口取得:1通480円
オンライン請求して郵送取得:1通500円
郵送の場合は、別途郵送代がかかります
日数
窓口では即日、郵送の場合は1~2週間程度
固定資産評価証明書取得場所
市区町村役場
手数料
200円~400円
郵送の場合は、別途郵送代がかかります
日数
窓口では即日、郵送の場合は1~2週間程度
名寄帳(固定資産課税台帳)固定資産評価証明書と同じ
公図または地積測量図取得場所
法務局・出張所
手数料
窓口取得:公図、地積測量図ともに1通450円
郵送の場合は、別途郵送代、切手代がかかります
日数
窓口では即日、郵送の場合は1~2週間程度
住宅地図取得先
インターネット「ゼンリン住宅地図」でダウンロードまたは図書館、コンビニ
路線価図取得先
国税庁ホームページ
賃貸借契約書取得先
手元に保管されている契約書
※アパートやマンションなどの賃貸物件を借りている場合に必要です。

株式や投資信託関係を相続する場合の必要書類

必要書類名取得場所備考
取引残高報告書取得先
契約している証券会社
日数
約10日~3週間ですが、契約内容などで異なるため、
契約会社にご確認ください。
配当金支払通知書取得先
手元に保管されている通知書
決算書取得先
契約している証券会社
※非上場株式の場合、直近3期分の決算書が必要です。

現金や預貯金関係を相続する場合の必要書類

必要書類名取得場所備考
残高証明書取得場所
口座のある金融機関
手数料
(例)三菱UFJ銀行1通770円
(例)みずほ銀行1通880円
(例)ゆうちょ銀行1通1,100円

日数
各金融機関にお問合せください
現時点のものではなく、相続開始日時点のものが必要です。
既経過利息計算書取得場所
口座のある金融機関
手数料
(例)三菱UFJ銀行
1通2,200円
定期預金がある場合に必要です。
現時点のものではなく、相続開始日時点での利息の計算書です。
通帳の写し
または預金の取引履歴が証明できる書類
取得先
手元または口座のある金融機関

通帳・預金取引履歴ともに過去1年~5年分程度必要です。
手許にある現金取得場所
手許に保管されていた現金、タンス預金など

生命保険金(死亡保険金)や退職金関係の必要書類

必要書類名取得場所備考
死亡保険金支払通知書取得先
契約している生命保険会社
日数
約10日~3週間ですが、契約内容などで異なるため、
生命保険会社にご確認ください。
生命保険証書取得先
手元に保管されている証書
解約返戻金がわかる資料取得先
契約している生命保険会社
支払いがなかった保険か、名義保険がある場合に必要です。
退職手当支払計算書取得先
被相続人の勤務先
退職金が支払われた場合に必要です。

贈与関係の必要書類

必要書類名備考
・贈与契約書
・贈与税申告書(過去3年分の申告書の控え)
過去3年以内に生前贈与があった場合に必要です。
・贈与契約書
・贈与税申告書(選択時以降の申告書の控え)
・相続時精算課税制度選択届出書
・被相続人の戸籍の附票の写し
相続時精算課税制度の適用を受けた場合に必要です。
・贈与契約書
・贈与税申告書の控え
・非課税申告書の控え
・管理残高が分かる資料
教育資金の一括贈与住宅取得等資金の贈与結婚子育て資金の一括贈与の適用を受けた場合に必要です。

債務関係の必要書類

必要書類名取得場所備考
借入残高証明書(住宅ローン等)取得場所
契約している金融機関
手数料
(例)住宅ローンの場合
三菱UFJ銀行1通770円
日数
1週間~2週間程度
被相続人死亡日の証明書が必要です。
金銭消費貸借契約書取得場所
借入先
金融機関以外から借り入れがある場合に必要です。
未納の租税公課の領収書
取得場所
手元に保管されている領収書
(例)住民税や固定資産税、国民健康保険料や介護保険料など
生前、被相続人が支払うべき費用を相続開始後に支払った場合に必要です。
未払い金の領収書取得場所
手元に保管されている領収書
(例)医療費、公共料金、クレジットカード利用料金など
医療費や電気ガス水道などの公共料金、その他未払いのものがある場合に必要です。

葬式費用関係の必要書類

必要書類名備考
通夜・葬儀の際に支払った領収書・葬儀費用
・火葬代
・通夜、告別式にかかった飲食代
・相続人が支払った生花代
・戒名料
・白木位牌代
・納骨費用
・会葬御礼費
お布施や心づけ等の記録
(手書きのメモ可。支払先、支払金額、支払日等をメモしておきましょう。)
・お布施、お車代
・葬儀の手伝いをしてくれた方への心づけ、謝礼等

※以下のような費用は、控除することが認められないので注意が必要です。

・仏壇で使用する位牌
・初七日法要
・香典返し
・四十九日法要
・墓石の彫刻費
・親族の交通費・宿泊費
・喪服の購入代、レンタル代

各種特例を使用する場合の必要書類

特例名必要書類名
小規模宅地等の特例を利用する場合・被相続人の戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本(もしくは法定相続情報一覧登録図)
・遺言書または遺産分割協議書の写し
・相続人全員の印鑑証明書※遺産分割協議を行った場合
・申告期限3年以内の分割見込み書※申告期限以内に遺産分割ができない場合
配偶者の税額軽減を利用する場合・被相続人の戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・遺言書または遺産分割協議書の写し
・相続人全員の印鑑証明書※遺産分割協議を行った場合
・申告期限3年以内の分割見込み書※申告期限以内に遺産分割ができない場合

その他の必要書類

必要書類名取得場所備考

自動車等の車検証のコピー、
または車種、色、走行距離がわかるもの
取得場所
手元に保管されている車検証
ゴルフやリゾートの会員権取得場所
手元に保管されている会員権
骨董品や貴金属等取得場所
手元に保管されている資料
鑑定書などの価値のわかる資料が必要です。
準確定申告書の控え取得場所
手元に保管されている申告書、顧問税理士
過去10年以内に相続があった場合の相続税申告書の控え取得場所
手元に保管されている申告書
相続する財産の中に、過去10年以内に発生した相続で被相続人が相続税を支払っていた場合は、
今回の相続税から控除できるため必要です。
高齢者施設等の入居関係書類
(入居契約書や退去時の清算書など)
取得場所
手元に保管されている資料、入居施設
施設等に入居していたことで特例を利用した場合に必要です。
貸付金、預け金、立替金関係の書類取得場所
手元に保管されている資料
契約書や返済予定表など未収状況の分かる資料が必要です。

添付書類を効率よく収集するポイント

上記のとおり、必要書類が多数あり、また取得場所も多岐にわたります。
相続開始から10カ月という相続税の申告期限内に申告を完了させるには、効率よくもれなく必要書類を収集する必要があります。

効率よく書類を収集するポイントは以下のとおりです。

まずは、戸籍謄本などの書類は最初に収集しましょう。
戸籍は被相続人が出生してから死亡までのものが必要です。本籍地を転々としている場合には、すべての戸籍を揃えるのにかなりの日数がかかることもあります。各種財産関係の証明書などの発行の際に提出を求められることもあります。最初に着手しましょう。

次に、金融機関や生命保険会社などに書類発行の申請の手続きをしましょう。
上のチェックリストに記した通り、申請しても即日発行できない場合が多く、数週間かかることもあります。

領収書関係や証書などの書類は早めに確認し、まとめて保管しておきましょう
領収書関係は、控除に使用できる場合がありますが、申告手続きをしようと思ったときに見当たらないといった場合がよくあります。
証書などと一緒にまとめて整理して保管し、期限内の申告を完了できるようにしましょう。

まとめ

上記のとおり、相続税申告には添付書類がたくさんあることがわかりましたね。
自分の相続税申告にどの書類が必要かを漏れなくピックアップすることは非常に難しことですが、
万が一漏れてしまえば過少申告になってしまう可能性があります。
申告期限までにご自身ですべての書類を揃えて、財産額を計算して・・・ということが難しそうと悩まれる方は、迷わずに税理士に申告を依頼するようにしましょう。

当事務所では、相続専門の税理士が、責任をもって相続税申告のお手伝いをいたします。
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